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オリエント時計のものづくり

オリエント時計は、日本を代表する時計メーカーのひとつ。特に機械式時計のラインナップの豊富さとデザインの心楽しさが魅力です。手巻き時計から、自動巻時計へ。そして、クォーツ時計から、ソーラー発電の電波時計へ。「時を刻む」機械の技術は目覚ましい発展を遂げています。

ライフスタイルの多様化にあわせて、オリエント時計の製品も、ますます独創的に進化中。あまりにも発表されている製品が多すぎて、何を選んだら良いのか迷ってしまう方も多いはず。ご購入をお考えの方に向けて、失敗しないモデル選びのヒントをいくつかご紹介していきましょう。

※オリエント秋田工場の様子や記事内でご紹介する時計は、2012年秋時点の取材データに基づいています。最新の情報ではない場合がございますので、ご了解ください。

ヒントヒントその1。メーカーの品番を手掛かりに幅広く効率良く製品を探すこと。

まずは、商品番号の下二桁のアルファベットに注目してみてください。このアルファベットがムーブメントの仕様を知る手がかりになっています。下二桁のアルファベットが同じであれば、ムーブメントの機能が似通ったモデルである場合がほとんど。価格に差がある場合は、その分外装品に高級材質を使用していたり、防水性や耐水性を強化していたり。機能にこだわる場合、アルファベット下二桁でモデルを比較すると、商品が選びやすくなります。

メンズ腕時計

例えば、メンズの場合を例にとってみましょう。オリエントスター、ソメスサドルモデル、エムフォースのシリーズを参考に比較。例えば、自動巻でパワーリザーブ機能、秒針停止装置付のき時計は、下二桁「EL」の品番に注目。機能が同じで、特殊なバンド付きのモデルや、防水機能強化モデルを見つけることができます。

ヒントヒントその2。デザインだけでなく材質や金属加工のクオリティにも注目すること。

表側の文字盤だけではなく、シースルーバックの表情にも注目。ローターの金属加工や刻印のデザインなど、シリーズや価格帯によって大きな違いがあります。金属パーツの磨き加工に手間ひまをかけたり、カラーガラスを使用して個性を演出したり。機械式時計の精密部品の動きを目で楽しむなら、裏側のデザインにもこだわってみましょう。

WZ0051DGのシースルーバック
WZ0051DGのシースルーバック
WZ0131FHのシースルーバック
WZ0131FHのシースルーバック
WZ0141DAのシースルーバック
WZ0141DAのシースルーバック
WV0771ERのシースルーバック
WV0771ERのシースルーバック

ヒントヒントその3。時計本体だけでなくバンドなどの外装品にもこだわること。

腕時計の機能や文字盤のデザインだけでなく、バンドの質にもぜひご注目を。ほとんどの時計は、内部のムーブメントの故障を主に保証修理の対象としています。時計を使用すると、どうしてもケースやバンドにキズや汚れが生じるものです。けれども、外観上の変化については有償修理になることがほとんど。ですので、質の良いバンドを選ぶことは、時計を大事に長持ちさせることにつながります。金属加工のクオリティやメンテナンスのしやすさなど、プラスアルファの視点も大切です。

WV0121PMに使用されるバンド
希望小売価格12800円(税別)のモデル
板ばね式は慣れないと調整が難しいことも
WE0021EKに使用されるバンド
希望小売価格150000円(税別)のモデル
ハイエンドモデルはバンドも別格の美しさ

失敗しない時計選びの最善の方法。それは、思いきって製造現場を訪ねてしまうことです。「日本のスイス」といっても過言ではない東北・オリエント時計の時計づくりの現場。2012年の秋、秋田県雄勝郡羽後町にある生産現場を見せていただく機会に恵まれました。秋田で生産されるオリエント時計の9割以上は、海外へと輸出されます。日本では流通しない海外向けのデザインや型番の方も多く生産されています。

秋田工場
オリエント時計技術センター
株式会社ユーティーエス
秋田の広々とした美しい環境
最終工程バンド付
最終工程バンド付けの様子
出来上がった製品
出来上がった製品は出荷を待つ

ひとつの時計の製造にかかる時間は、シリーズにもよりますが、3ヶ月から5ヶ月。何千もの工程を経て、数多くの人々の協力で完成する腕時計は、日本国内だけでなく全世界へ。ものづくりの現場では、各工程で、不良品を出さない努力とチームワークが必要となります。ほんの少し、その仕事ぶりをのぞいてみましょう。

オリエント時計の生産現場のクリーンルームでは、秋田美人の女性たちが大活躍。掃除の行き届いたクリーンな環境で、静かに黙々と、集中力をもって手を動かす女性たち。細かい作業をいとわず、素早く次から次へと、仕掛け品を丁寧に積み上げていきます。手先が器用な秋田美人が根気強く真面目に手を動かしている場所、それが時計の生産現場です。

カラー別、形状別、優先順位別に整然と並んだプラスティックのトレー。中を覗くと、いつ誰が何をいくつ作業したのか一目で認識できる伝票。作業机には、誰が何の作業をしているのかすぐにわかる名札プレート。例えば、使ったものを必ず元の位置に戻す、物を置くときは色や方向をそろえる。ひとりひとりの小さな気配りの積み重ねが、不良品を出さない、納期を守る、正確な数量といったチームワークの成果へとつながっていくことが一目でわかる生産現場でした。

ガラス越しのクリーンルーム
ガラス越しのクリーンルーム
文字盤に針をつける作業
文字盤に針をつける根気のいる作業
ひとつひとつ丁寧に検品
ひとつひとつ丁寧に検品
もちろん男性も活躍しています
もちろん男性も活躍しています

廊下の掲示板には、ISO9001とISO14001の掲示板が設置してありました。一般的に、ISO9001の取得は品質のマネジメントに関する信用をはかるものさし。同様にISO14001の取得は、環境に配慮したものづくりをしているかどうかの指標です。突然ベテランの社員が退職をしたら、製品のクオリティが低下したといったことがないよう、作業内容や役割を明確にし、日々努力をしている様子が想像できます。

廊下に設置されたISOの掲示板
廊下に設置されたISOの掲示板
作業担当者のサインが整然と伝票に
作業担当者のサインが整然と伝票に

他の精密機器や家電製品と、腕時計の大きな違い。それは、メーカー以外の人間が「フタを開ける」ということです。腕時計の場合は、町の時計店が裏蓋を開けて電池交換をします。それから、お客さまの中でも趣味で腕時計の分解や組立を楽しむ人が大勢います。

そこで求められるのは、「フタを開けても美しい」腕時計。部品ひとつひとつの金属加工の細部にこだわった時計は、多くの時計ファンの心を魅了します。そして、それは、決して機械まかせにしない手仕事の技に支えられています。

例えば、一枚の黄銅板から削りだされるムーブメントの部品。ロイヤルオリエントの部品などは、NC工作機の水式ドリルで削り出されます。機械まかせでプログラムだけを入力して完了だと思ったら大間違い。丹念にプログラムをして、数字上の計算が緻密にできるだけでは足りません。段取りの仕方や刃物の使い方に熟達していなければ、精度を極めることはできません。g01の記号だけでは表せない人間の感覚。顕微鏡を使って目で確かめて、何度も精度を機械で計測する手間ひまがかかっているのです。

例えば、機械式時計で一番人の指が触れて力のかかるパーツを考えてみましょう。そのひとつは、竜頭(りゅうず)。竜頭を引いて、日付や曜日を合わせたり、ぜんまいを巻き上げたりしますので、このパーツは特に重要。ムーブメントの型番によって巻き芯の長さは変わりますし、モデルによっては竜頭のデザインも異なります。これは、手仕事でひとつひとつ丁寧に巻き芯と先着されていきます。

一枚の黄銅板が美しいパーツに
一枚の黄銅板が美しい部品に
削りだしたパーツを顕微鏡で確認
削りだした部品を顕微鏡で確認
竜頭と巻き芯を手仕事で接着していく
竜頭と巻き芯を手仕事で接着していく
砥石による波目模様つけ
砥石による波目模様つけ

裏蓋がスケルトン仕様になっている場合は、部品の模様つけ加工が仕上がりの見栄えを左右します。ロイヤルオリエントの場合は、ひとつひとつ切削加工の上、手磨きで輝きを出します。オリエントスタークラスのムーブメントのローターは、砥石によって手仕事で波目模様をつけます。この金属の模様も、時計のデザインを印象づける大事な要素であることは見逃せないポイントです。

例えば、文字盤のメインプレートに窓抜きをしてテンプの動きが見られるようにしたデザイン。窓抜きをすると、切断、切削した部分に必ず「バリ」と呼ばれる小さな突起が残ります。このバリ取りの作業も、ひとつひとつ人間の目で顕微鏡を通して行われます。想像するだけで気の遠くなる作業ですが、この丁寧な手仕事が時計ファンの心を動かすのです。

鏡のように美しいパーツがあれば、それはバフ研磨の手仕事の技。特別なロゴマークやシリアルナンバーが刻印されていれば、それはレーザー印字の技術。パーツの一部に「ORIENT」と刻印されていれば、ムーブメントの偽造防止にもひと役買います。小さなパーツひとつひとつに、想像以上に人間の手がかかっていることを思い起こしてください。

レーザーでの刻印を待つパーツ
レーザーでの刻印を待つパーツ
仕掛け品を整然と積み上げていく
仕掛け品を整然と積み上げていく

クリーンルーム内で、ムーブメントに文字盤や針をつけて丁寧にケーシングされた仕掛品。これらは、空気漏れがないようにしっかりと圧力をかけて蓋が本締めされます。本締めされた時計の本体は、いよいよ防水や精度の検査へと工程のステージが移ります。「10気圧防水」、「月差プラスマイナス25秒から15秒」などと表示されていることがありますよね。その表示の信頼性を守るためには、ひとつひとつ検品、検査の手間ひまがかかっているのです。

例えば、時計の精度。針の動きが遅れすぎる、もしくは進みすぎるという誤差がひどい場合は、時計として用をなしません。精度の規格の範囲におさまらない個体を取りのぞくことで、製品への信頼を勝ち取っているのです。

防水検査も入念です。特にダイバー系のモデルは、防水性や耐水性が命。ダイバー系の文字盤に「300M」や「200M」と印字されているのは、ただのデザインではありません。本当に信頼できる防水性の数字の表示なのです。

ケーシングの本締め作業
ケーシングの本締め作業
エアーリークで防水性を確認
エアーリークで防水性を確認
ダイバー系は全数に水に浸して検査
ダイバー系は全数に水に浸して検査
精度も時間をかけて調べる
精度も時間をかけて調べる

時には国境を越える何千もの工程、組立のすばらしいチームワーク、それを支えるひとりひとりの技能。それらの集大成を確実にして、世の中に製品を送り出すための手間ひまをかけた入念な検査。決して手を抜くことなく、真面目にものづくりがされていることをぜひ知っていただきたいと思います。

踊る大捜査線とウェンガー

ウェンガーは元来ナイフのブランド。時計が誕生したのは1990年代初めです。スイスの老舗時計ブランドに比べれば歴史は浅いものの、ナイフで培った実力派ブランドが展開する時計はなかなかのもの。ウェンガー愛好家の輪をぜひとも広げたいものです。

1997年、フジテレビ系列で放映された織田裕二さん主演の連続テレビドラマ「踊る大捜査線」(おどるだいそうさせん)。90年代の大ヒットコンテンツのひとつとして知られており、その後の映画や、本編のサブキャラクターを主役に抜擢したスピンオフ作品シリーズも軒並み大ヒットしました。

当時のテレビドラマが世の中のトレンドに与える影響は、たいへん大きく、主人公が着用している洋服やバッグが飛ぶように売れる状況が数多くありました。腕時計も、その最たるもののひとつ。劇中で織田裕二さんが好演した青島刑事が使っていた腕時計、それがウェンガー「70725」モデルです。作品のヒットでウェンガー腕時計も大ヒット。ベルトをカーキのナイロンベルトに付け替えて青島刑事になりきる人が映画ヒット当時に続出しました。

ところが、この「70725」モデル、数回文字盤デザインのマイナーチェンジをしており、今現在では「70725」モデル自体が廃盤となって入手困難に。インターネットオークションなどでも定価以上の価格で取引されるといった現象まで起こりました。 特に価値があるとされるのは、「S.A.K.モデル」、「初期青島」、「正統派青島」などと称される「70725」です。

特徴としては、12時位置に「S.A.K.DESIGN」、3時位置に「CHRONOGRAPH QUARTZ」、9時位置に「SWISS 100M」と印字があります。また、「WENGER」のロゴやスイス国旗の十字デザインも現行モデルのウェンガーとは若干の違いがあります。 次に価値があるとされるのは、俗に「片文字」と言われる「70725」です。このモデルの特徴はその名の通り3時位置に「CHRONOGRAPH QUARTZ」と片側だけに印字があること。このモデルもウェンガー腕時計ファンにとっては希少価値があると評価されています。

「70725」が廃盤となって後のデザインを継いだのが「70825」。同じ「70825」の品番でもブラウンレザーベルトや、NATOベルトがついた数量限定モデルが発売されており、「70725」を買い逃してくやしい思いをしているマニアックなユーザーをも引き続き取り込んで、ウェンガーファンを増やしているという状況です。

今現在では、当時の「70725」、特に「S.A.K.モデル」は本当に入手困難ですが、地方の小さな時計店がひそかにデッドストックとして倉庫に眠らせている場合などもありますので、ウェンガーファンの方のみならず、「踊る大捜査線」ファンの方、織田裕二さんのファンの方は町の時計屋さんに足を運んでみてはいかがでしょうか。

柳の下に二匹目のドジョウを狙うかのように、ウェンガーはその後も「海猿」モデルと言われる型番がヒットしました。その型番とは、「70731」、「70705」、「70724」。俳優の伊藤英明さんが仙崎大輔役を好演したことで大ヒットした映画、「海猿」。その中で使われていた腕時計、それがウェンガー「70731」モデルです。

作品のヒットでウェンガー腕時計もヒット。「踊る大捜査線」の二匹目のドジョウを狙ったかのようにケース裏面に海猿ロゴを入れたリミテッドエディションがオリジナルグッズとして雑誌等で紹介されることもありました。 「70731」のみならず、藤竜也さん演ずる海上保安大学校の教官・源太郎が着用したとされている「70775」、「70724」のウェンガーも大ヒットとなりました。

特にこの「コマンドクロノスペシャル」のシリーズは、スイスマウンテンコマンドのロゴが縫いつけられたベルトにも人気が集中し、ベルトのみを買い求めて自分の腕時計に付け替えるといったウェンガーファンの方も多くいました。 「70705」、「70724」の両モデルもカレンダーの表示が白ではなく黒であったり、スモールセコンドなどの針も白ではなく黄色であったり、12時位置のスイス国旗の十字デザインが若干変わっていたりと、同じ品番でデザインのマイナーチェンジがありました。

「70725」ほどのブームにはならなかったため同じ品番で若干違うデザインが市場に流通している人は本当にウェンガーのことをよく知るファンに限られましたが、それでも卸業者や小売業者のB TO Bレベルでは、そういったマニアックなファンの方々のために黄色の秒針のものだけを選んで仕入れをするといった業界内での希少モデルの取り合いが起こりました。

もし「海猿」モデルをすでに入手している方がいらっしゃれば、若干のデザインの違いで意外とそれが業界内での「激レア」モデルである可能性もありますので、少し時計を当時のパンフレットなどと比べて眺めてみてはいかがでしょうか。

パンフレットやカタログ等に掲載されているウェンガーがすべて定番で日本に定期的に輸入されているかと言えば、そうではないモデルも多くあります。輸入も市場での人気に左右されるので、需要が多いのに品薄で入荷が大幅に遅れたり、逆に新作のデザインに惚れ込んでバイヤーが大量に入荷したはいいものの売り上げがふるわずあえなく廃盤になる場合があります。 「こんなにかっこいいデザインなのになぜ廃盤なのか」と、小売業のバイヤーを残念がらせたモデルや、少量生産の限定品、コラボモデルなどウェンガーの隠れた名品たちは数多くあります。

もちろん、正規輸入品だけを扱う店舗にしか入手できない特別モデルなども存在します。「踊る大捜査線」や「海猿」モデルだけではない、というウェンガーのディープな世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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「壱品屋さん」の取り扱う腕時計ブランドについてのこぼれ話や、時計工場見学の様子をつづっています。
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